共通様式2
隊員活動報告書

1 第3号報告書(赴任1年目)として、以下の項目について報告します。
(1) 活動内容
(2) 今後の支援について

(1) 現在の活動
・ 1学期(9月〜12月)
 授業は週12時間の授業を担当。
 今学期の主な授業内容はMicrosoft WORDとEXCELの使い方の指導である。但し、比重はWORDが大部分を占める。
 ワードプロセッシングということで、基本機能そのものはシンプルであるが、紙面を形成する装飾や、紙面を管理する機能(自動ページ設定、段組、表作成、マージ)等を中心に授業を行った。
 レポート等を作成する際、生徒は必ずWORDを使用する必要があることから、実際に使用した経験もあり、コンピュータを操作できるクラスにしては出席率が程々という感じである。
 また、見た目を非常に重視するジャマイカ人の気質からか、紙面の装飾に関する機能については非常に興味を持つが、管理機能については興味が薄い。事実、紙面の管理については、知らなくとも不便なだけで、手間と時間をかければある程度の形が出来上がってしまうので、学習のポイントを納得させるのが難しい。
 担当するコースは、教育学科、文学科、コンピュータ科と多用である。その為、同様の内容を教えても、速度、理解度の点で生徒の習熟度にも差が見受けられる。その為、シラバスの内容を進めても、完了する時期にずれが生じた。
 その対策として、その後はコースワークを設定し、実習させたが、理解の早い生徒に対しては時間が勿体無く感じられた。

 今学期の半ば、モンテゴベイ大学、ブラウンズタウンコミュニティ大学、エクセルシオー大学、モニーグ大学の4校で共通試験を作成する機会があった。教育文化省の元、そのコミュニティに該当するコースについては担当の教師がそれぞれモニーグ大学に集まり、意見を出し合い共通の試験用紙を作成するのである。
 私の担当するコースの一つが、そのコミュニティに該当しており、私自身も試験問題作成に参加した。非常に疲れる作業であったが、試験問題が完成したことで、逆に指導案もしっかりしたものになり、その後は授業がし易くなった。 

・ 2学期(1月〜5月)
 授業は週9時間の授業を担当。
 今学期の主な授業内容はMicrosoft EXCELの使い方の指導である。
 担当するコースは、先学期と同様、教育学科、文学科、コンピュータ科と多用である。速度、理解度の点で生徒の習熟度にも差が見受けられる点も同様である。
 今学期は学期始めにシラバスを作成する際、この状況を踏まえておいた。つまり、シラバスの内容に必須事項だけでなく、それが終了してから行われる拡張事項を追加しておいた。
 1月から始まった今学期も3ヶ月が過ぎ、学科間でやはり差が出来てきた。基本的には文字をタイプし、装飾する方法を覚えて行くMicrosoft WORDと違い、表作成、演算、関数(sum,max,min,average,lookup,if,and,or等)、データベース機能等を使いこなさなければならないEXCELについてはその差も小さくない。やはり、コンピュータ学科の生徒は、理解も早く、また、学校の方針として授業数を多めに組み込んであるため、進展が早い。
 そこで、拡張事項として、EXCELに同胞されているVisual Basicの機能(VBA)を使い、プログラミングを教えている。
 生徒は別のクラスでC言語によるプログラミングを学んでおり、プログラミングの基礎知識は保有しているが、言語の多様性、それぞれの言語のもつ得手不得手を知る上で、有意義であると考えている。
 学校の授業なので、他の先生のプログラミング授業では、貯蓄の利息計算や、数学の問題等を課題として用いているが、明らかに生徒の興味は薄い。私個人的には、興味のある事を楽しみながら勉強することが上達の最短コースであると思うので、課題としてゲーム的な要素を含んだプログラムを使用している。
 また、プログラミングの授業で、フローチャートを書いて教えている先生が見受けられない。やはり、ロジックを初心者に教えるにはフローチャートも必要なので、毎回フローチャートも用意している。
 実際の手順としては、まず事前に私が課題プログラムを自作し、授業で紹介して実際に生徒に入力させ、そしてその後、各命令の意味とフローを説明する、といった具合である。
 以下に実際に授業に用いたプログラムの例"スロットマシン"の画面と、フローチャートを示す。
フローと画面サンプル
・ 授業外でのC言語プログラミング指導
 授業外でC言語によるプログラミングを教えて欲しい、という希望が生徒からあり、指導している。
 確かに、そのクラスのジャマイカ人教師の教え方は生徒にとって解り辛いようである。実際に授業風景を覗いてみると、教師がホワイトボードにプログラミングを書き連ね、一通り説明をして、後は生徒が実際にタイプをするというスタイル。
 生徒として聞く側にも問題はある。ジャマイカ人生徒の殆どはノートをとらない。そして、説明がなされている最中からタイプを始め、タイプが終わり、プログラムが問題なく実行されるとそれで良しとしてしまう生徒が多い。そういう場合、その命令がどういう意味を持ち、どの部分でどういう判断がなされるかは理解できないのである。
 とはいえ、それがジャマイカ人生徒のマジョリティである以上、私はそれに合せて教え方を工夫している。その一つが前段落の"作業が終わってから内容の説明"であるが、そういった工夫が生徒には好評のようである。 
 
・ 図書館でのネットワーク管理 及び トラブルシューティング
 モニーグ大学には授業で使っているコンピュータラボの他に図書館にもコンピュータネットワークがある(構内で唯一インターネット接続されている)ものの、司書やそのアシスタントが管理しており、コンピュータに詳しい人間がいない。その為、私が授業の無い間は駐在してネットワークの管理、トラブルシューティングを行っている。
 基本的に、トラブル発生時はラボのラボテクニシャンに依頼するようであるが、あまりに対応が遅いようで、私が対応している。
 トラブルはフロッピードライブに関するものが多い。これは、一般にジャマイカ人には3.5インチフロッピーディスクをケースに入れるという意識が希薄なため、フロッピー内部に埃が入り込み、その埃でドライブ側も壊してしまうものと思われる。
 ただ、幸いにも、フロッピードライブそのものはPC−AT互換機創生期から規格が変わっていない為、故障して動かなくなったPCから取り外して再利用している。
 また、生徒がWORDで文章を作成する際や、データをコピーする際に、使用方法を尋ねたりするので、それも私が対応している。

 その他、2台のPCが新たに導入された事を受け、ネットワーク構成を改善した。
 以下、作業前に図書館の管理者である司書に提出した改善提案資料を示す。
2-Feb-03
Proposal about computer Network in the Library
Shuhei Yamano
・ Current situation
Current Situation


・ Problem
1. Now, new 2 PCs are installed, then we have to install long LAN cable from the GATEWAY PC to the one of New PCs.
2. In the future, when other new PCs were installed, then we have to install long LAN cable from the GATEWAY PC to the New PC again.
3. If some trouble happened and a cable that from the GATEWAY PC to the New PC was cut , then we have to install long LAN cable from the GATEWAY PC to the New PC again

・ Proposal
Proposal
1. Move the HUB to close to the WorkStation PC.
2. Install short cables from the HUB to each the WorkStation PC.
3. Current cables form the GATEWAY PC to the New PC would be spare cables.
4. Merit
o In the future, when other new PC were installed, then we need to install just short LAN cable from the HUB to the New PC. It'd be easier than installing long cable.
o Even if some trouble happened and a cable that from the GATEWAY PC to the HUB, We can use another spare cable. We don't need to install new long LAN cable.
o Even if a cable that from the GATEWAY PC to the HUB, We can use another spare cable. We need to install short LAN cable.
(2) 今後の支援について
・ 経済面
 本校はジャマイカ内において、非常に経済状態の良い大学であると思われる。
 教材に関しては不足することもなく、本やフロッピー等、必要なものは申請すれば購入してもらえる。
 ソフトウェアの違法コピーに無頓着なジャマイカにしては珍しく、学校所有のPCに関しては明確に違法コピー禁止を指導しており、これも必要な台数分申請すれば、ライセンスを購入する姿勢である。
 スタッフミーティングの際の校長からの発言によれば、購買でも利益があり、それでバスを買おうという意見まで出た。
 また、構内に建物を新築したり、不足している人員については迅速に雇用している。
 ただし、職員への給料支払いが遅れたりといった類の事務上の問題はある。

・ 技術面
 現在、日本人ボランティアに求められている業務は、ジャマイカ人でも十分に対応できる。
 勿論、それなりの知識をもった人間の確保が必要である為、誰でも良いというものではないが、PCが一般家庭にも普及し始めているジャマイカの社会事情からすると、コンピュータの知識を持ったジャマイカ人を探して雇用するという事はさほど大きな問題ではないと感じる。
 実際に昨年末、コンピュータ学科の教師が一名退職したが、その一ヵ月後には後任が雇用され、また、1学期の始めにコンピュータ学科内のミーティングでラボテクニシャンの増員の話が出たときも、2週間後には雇用されている。
 本レポートでも記述したとおり、私から見ると、教師の教え方、生徒の授業の受け方に問題が無いとは思えないが、それは改善しようという個人の意思の有無の問題で、日本の学校でも抱える同様の問題であると思う。

・ 結論
 上記2点の状況は、私が赴任した当初から感じ続けてきたものであり、これらの視点から考察すると、JOCVの支援の必要はないと感じられる。
 前任者とその当時の調整員は本校に後任を要請し、実際に私が配属された訳であり、この2点を超える理由が何かあるのかもしれないが、私がこれまで1年間活動した限り、そういった理由も特に見当たらない。
 現場からの意見としては、継続した支援の必要は無しと判断する。但し、勿論、現場外で別の判断基準がある場合には、協議の必要有りと思われる。


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