共通様式2
隊員活動報告書

1.第2号報告書(赴任6ヵ月目)として、以下の項目について報告します。
(1) 現地人とのコミュニケーション
(2) 現在の活動
(3) 活動における現状の問題点
(4) JICA/JOCV ジャマイカ事務所のネットワーク環境改善作業

(1) 現地人とのコミュニケーション
 現在、大学から提供されている住居には同居人が一人いる。
 同居人は、前任者とも一緒に暮らしており、日本人との同居は初めてではない。
 ガーナ出身(年齢は40代前半)で、カナダに留学して学位をとり、英語はもちろん、スペイン語、フランス語も話せ、現在は経済学を中心に教鞭を振るっている。
 日本に興味を持っており、宮沢大蔵大臣時代の日本の経済(市場開放問題や、バブル経済)などの話題も出してくるので、こちらがその成り立ちから崩壊までのプロセスを説明したり、その他にも日本語、中国語、韓国語の違いや、私がこれまで旅して覚えたそれぞれの国の文化・習慣を教えたりもしている。
 また、映画「BLACK RAIN」で観たという日本の暴力団のしきたり(不始末に際し、小指を自ら切る)等が話題に上って説明したりもするし、最近は、ガーナの実家の弟に対する愚痴まで話してくれる。
 他の教師達も私には英語で話してくれるので、当初からコミュニケーションは特に問題は無かった。
 コンピュータラボの管理人や、食堂の従業員等、現地訛りの強い人の言葉も、最近は聞き取れるようになり、以前のように何回も聞きなおした挙句に、「もういい」と話を切られることも無くなった。
 生徒達は、こちらの語学事情など全く関係なく話しや質問をしてくるが、多少は聞き直したりはするものの、質問にも答えている。
 ただ、やはり、パトワ語しか話せない人達とはコミュニケーションが取れない。
 
(2) 現在の活動
 8月の下旬から、実際に授業も始まり、週に12時間の授業を担当している。
 基本的に、学校側からはシラバスを渡されただけで、実際の授業の運用内容や進行については何も口出しされない。
 しかし、当然、学期末には、生徒の評価をする必要があるので、今のうちからその点を考慮して授業を運営するように心がけている。
 私には教師経験がないため、これまでの会社員経験やこれまでに読んだビジネス書からの知識を随所に転用している。
 例えば、成績の評価材料として、敢えて出席や授業態度等は考慮しないように考えている。
 「個人を評価する」という点で、企業内の査定と同じであり、出席や授業態度とは、就業態度に当たる。
 "古い日本企業では、「挨拶が良い」とか「準備体操をまじめにやっている」という本来の業務と関係の無い点を評価する人がいたが、それは要するに「私は部下の本来の業務能力を査定する能力がありません」と明言しているようなものである。"というのが、以前読んだビジネス書に書かれていた。
 不景気の今の時期、まだこんな上司がいたらその会社も危ないだろうが、もしも、自分も生徒の授業態度や出席を重点的に評価するとなると、これと同じ事である。
 企業において重要なのは、会社の利益を出すことであり、私の担当する生徒として重要なのは、コンピュータが支障なく操作できる技術を持つことである。ただ、元気に挨拶をして、一時間、席に座っているだけでは意味が無い。
 つまり、知るべき内容を既に理解していれば、欠席しても問題にはしない。
 誰もが自分の能力は正しく査定して欲しいと考えるのと同じように、生徒も正しく評価して欲しいはずである。よって、"評価をする"という作業については、注意を払いたいと考えている。
 また、「職場の雰囲気の良い会社」には誰もが好んで出社して仕事をしたいと思うのと同様、生徒も「楽しい授業」にも出席して勉強したくなるはずである。良い雰囲気を作る事ができれば、生徒の出席・学習意欲を向上できるはずと考え、許される範囲で生徒の要求も満たしながら"良い場の雰囲気"を作るよう心がけている。
 当然、生徒が変われば、要求も変わる。例えば、あるクラスでは、多数の生徒が日本語を知りたいというが、別のクラスで日本語を教えると、退屈そうだったりする。その"場の責任者"としては、そういった点も配慮していく必要があると感じている。
 
(3) 活動における現状の問題点
 Ministy Of Financeが作成したジャマイカの国立大学教師(つまり、私の同僚)のBASIC SALARYの資料を入手したので、次項に記す。
 講師クラスだけでの年間BASIC SALARY平均で、約250万円弱となっている。
 ジャマイカでは自動車は税金や輸送コストの関係で、日本の価格の約3倍するが、本校の教師は車の保有率も非常に高い。
 ところで、ジャマイカ人にとって、相手を尊敬するかどうかは、服装が大きく関わる。
 つまり、"教師"としては、教え方以前にまず服装をきっちりしているかどうかで、生徒の授業態度や出席率が変わってくる。
 よって、教師は皆、服装にお金をかけている。男性はクリーニングされたYシャツはズボンはもちろん、女性も殆ど(暑いにも関わらず)スーツ姿である。靴も綺麗に磨かれている。
 当然、教師として活動する隊員はそれと同等の出費を衣服にかける必要があり、タバコ一箱が500円弱する経済レベルのこの国では、現状支給されている生活費の額では台所事情が厳しい。
 現状、私が戴いている隊員生活費は同僚教師のBASIC SALARYとだけ比較しても、1/4である(余談だが、同僚の教師と生活費の話をすると、同情される)。生活費が現地公務員給与平均の5倍に相当するアフリカ地域の隊員(インターネットを利用して情報を交換)と比べると、大きな差である。経済レベルは大きく違うのに、支給される生活費が2倍も差がないのはどういうことだろうか?
 生活費算出の基準が今ひとつ不明確であり、担当部署の的確な査定による早急な改善を期待する。
 
 
添付資料

ジャマイカにおける教師の年収(BASIC SALARY)(単位:J$)
                                                                                                  
              POST                  1年目     2年目     3年目     4年目     5年目   6年目以降 6年目までの平均
PRINICIPAL CLASS A               1,887,770  1,934,964  1,983,338  2,032,922  2,083,745  2,135,838    2,009,763
PRINICIPAL CLASS B               1,648,023  1,689,224  1,731,454  1,774,741  1,819,109  1,873,683    1,756,039
PRINICIPAL CLASS C               1,510,216  1,547,971  1,586,671  1,626,337  1,666,996  1,708,671    1,607,810
VICE PRINCIPAL- TERTIARY          1,236,000  1,266,900  1,298,573  1,331,037  1,364,313  1,398,421    1,315,874

PRINCIPAL LECTURER/H O D -ll        981,000  1,005,525  1,030,663  1,056,430  1,082,840  1,109,911    1,044,395
PRINCIPAL LECTURER/H O D -l         920,244    943,250    966,831    991,002  1,015,777  1,041,172      979,713
SENIOR LECTURER                     804,141    824,244    844,850    865,972    887,621    909,811      856,107
LECTURER                            726,739    744,908    763,530    782,619    802,184    822,239      773,703
ASST. LECTVRER                      678,363    695,322    712,705    730,522    748,785    767,505      722,200
                                                                      LECTURER の平均年収(BASIC SALARY):875,224

NB: HOUSING ALLOWANCE (WHERE APPLICABLE) IS INCLUDED IN THE PAY PLAN
Ministy Of Finance & Planning Compensation Unit
05/02/ 2002
(4) JICA/JOCVジャマイカ事務所のネットワーク環境改善作業
 本来の隊員活動の合間に、ジャマイカの他のシステムエンジニア(以下 SE)隊員と共に、JICA/JOCVジャマイカ事務所(以下、事務所)のコンピュータネットワーク環境を改善する作業を行っている。
 [概要]
 現在の事務所のPCは主にApple社のMacintoshが採用されているが、今後のWindows機への転換に対応できるシステムとする。
 ネットワーク構築当初からの資料が何も残っていないため、誰も既存ネットワークの状況を把握出来ておらず、それに起因していると思われるトラブルも起こっている。今回はそれらを調査し、構造を明らかにした上で改善する。
 また、新規に情報公開用のPCを設置して、事務所内PCとインターネット回線を共用するが、事務所内PCのデータにはアクセスできないようにしておく。
 倉庫に保管されていたPC、及び関連機器を利用することで、機器の有効活用を図る。
 その他、現在の運用で発生している細々したトラブルも解消する。
 
 [実作業]
 まず、事務所の方々から、現状の問題点、今後の事務所の運用方針を打ち合わせ、ニーヅ調査を行った。
 そして、それらの内容を計画書(提出版には添付)としてまとめて立案し、事務所側から企画調査員立ち会いの下、各SE隊員で分業して作業を行っている。
 SE隊員全員が経験の乏しいMacintoshでの作業であるという事と、基本的に土・日という限られた時間で作業を行っている為、時間は深夜にまで及んでいる。しかし、実作業以外の点で調整員の方々や他の隊員達の強力なバックアップもあったおかげで、作業は順調に進んでいる。(提出版には作業報告書1,2号 添付)
 
 [所感]
 ここ数年、私が日本で担当している製品は発電設備であり、PC関連の知識・技術を活かす場はそれほど多くは無かったので、気分的には楽しく作業をさせてもらっている。
 また、上記の理由から、最近のPC関連機器の情報にも乏しかったが、実作業の中でのSE隊員達との交流で、そういった知識も手に入り、大いに勉強にもなっている。
 JICA事務所内の業務効率向上は、隊員活動のバックアップ体制の改善を意味し、隊員活動にとっても有益であると考える。


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