共通様式2
隊員活動報告書

1.第1号報告書(赴任3ヵ月目)として、以下の項目について報告します。
(1)任国事情
(2)配属先の概要


(1)任国事情
<受入国の印象>
 ジャマイカは、連絡を取り合っている他の国の隊員の話や、過去に自分個人で旅した援助国と比較して、とにかく物資が豊か。物資の面では特に援助を受ける必要は無いと感じる。
 ただし、自国でモノを作るという点で遅れている。現在の豊かな物資の殆どが輸入、または寄付であろう。
 実際、物価は日本より高い。自動車は日本での3倍の価格だし、田舎のスーパーでも野菜はアスパラガス一束で800円くらいするものもあるし、キャベツも倍くらいする。皮肉にもブルーマウンテンコーヒーは日本で買った方が安いくらいである。
 機械や電化製品は自国の生産でなく、他国からの物資の輸入で生活しているので、(ボロボロになるまで品物を使うものの)メンテナンスや修理のレベルが低い。
 また、土産物として売られている木彫り彫刻や、街のギャラリーで売られている絵、また落書きを見ても造型のレベルは低い。
 ジャマイカ人の多くは大雑把で、「いい加減」である。
 時間にルーズな人が非常に多く、外出や、旅行での出発時間は言うに及ばず、仕事のミーティングの開始時刻も遅れる。しかし、それを非難することはなく、当たり前のこととして過ごしている。
 個人的な見解ではあるが、この「いい加減」な傾向は女性よりも男性に強い。
 「奴隷時代、簡単に売り買いされた男性は、子供を生んで育てる必要のあった女性よりもいい加減になっていった」という話を聞いた。
 社会でも働く女性の数は非常に多い。また、私の赴任地の管理職は基本的に女性である。
 このような社会背景で、なぜ外国から品物を購入する資金があるのか。一説では、マリファナの密輸によるブラックマネーで稼いでいる、とのことである。私は個人的に、ジャマイカ人がいい加減なのにこれだけモノの豊かな理由として、この説を信じている。
 ジャマイカの文化、ラスタファリズムで用いられてきたハーブの一つである"ガンジャ"はマリファナであり、現在でも政府が伐採することなく、山中で普通に自生している。田舎でバスに乗ると、たまにガンジャの葉を抱えて平然と乗ってくるラスタマン(ラスタファリズム信仰者)がいたりする。
 この"低い創造性で、不釣合いに稼いだ資金で欧米の最新の機械や電化製品を買う"ことに現在のジャマイカの問題があるように思う。
 おそらく、「いい加減」な国民性のままでも、他からの干渉が無ければ、ゆっくりでも自国で技術レベルが上がっていくと思われるし、「いい加減な性格でも操作に支障のない」機械が作られていくはずである。
 ところが実際は性格は変わらないまま、欧米式の精密な機械を輸入し、使おうとする。だから、よく壊してしまう。
 ジャマイカ人の多くは派手好きである。機械は最新式が良いし、例え使わなくてもたくさんの機能が付いている方が良い。PCにはたくさんのソフトをインストールしたがる。その挙句、PCの動作が不安定になり、後は放置してしまう。
 「いい加減」な事は「おおらか」な事でもあるので、その国民性を永続的に文化として持ち続けてもらってもいい。しかし、欧米式の技術を使用する場面では、それは適当ではない。手も洗わずにPCを分解してCPUを外し、CPUのピンを素手で触りまくった上、ナイロン袋に入れて、きつく縛ってしまうような事を繰り返していては、いづれCPUは壊れてしまう。
 殆どのPCのモニターは手の油で指紋がついてベトベト、マウスはローラーにゴミが帯になってまとわり付いていても何ら改善しない。
 とはいえ、それをラボ管理者当人に言っても聞き入れはしない。PCが早く壊れても彼の責任にはならないし、彼は彼なりに今まで教育を受けてきて、彼のスタイルがあるからである。もちろんジャマイカ人全員が他人の意見を聞き入れない人ばかりではないと思うし、私の実績が上がってくれば彼も聞き入れるかもしれない。
 ただ、自分が教える生徒には「機械を扱う際には、いい加減ではなくなる」よう指導したい。大雑把な性格でも構わないが、必要なときにはメリハリをつけて欲しい。
 そして、やがて彼等が教師や技術者になったとき、また後輩に同じ指導をしてくれれば幸いである。

<現地語学訓練>
 公用語は英語であり、現地での語学訓練も英語が殆どで、現地語であるパトワ語はほんの一日しかなかった。当然、駒ヶ根訓練所でも一切なかったので、習ったのは4時間程度ということになる。
 同僚が英語で話しかけてくれる場合は問題ないが、構内のメンテナンスマンや、食堂の職員たち等、パトワ語しか話せない人とはコミュニケーションが取れない。
ただの「英語の一方言」とせず、やはり、別途習う時間が欲しい。

<生活事情、食料事情>
●住居
 生活は構内の教員宿舎にガーナ人と二人で住んでいる。
 住居は広く、お湯のシャワーも使え、隊員の中では恵まれている。
 ただし、電話線が部屋になく、コンピュータでインターネットへの接続をしようと思った場合は、コンピュータラボまで行く必要がある。しかも、ラボの電話回線は一本しかなく、平日は使用されている事が多い。また、休日は総務の部屋が閉まっており、ラボの鍵を開けられない為使用できない。
 つまり、システムエンジニアとして赴任してはいるものの、インターネットへの接続が非常に困難であり、ネット上には多数公開されているプログラミング手法や、その他のコンピュータ関係の情報が入手できない。
 住居への電話線は、2ヶ月前に申し込み済みである。しかし、前任者も申し込み、また、近所の教師宿舎の同僚達も4年前に申し込んだが、未だに設置されていないという状況である。校長も、「電話会社に言いなさい」というだけで基本的に打つ手は無い。
 前任者は授業以外の仕事も持っていたので、授業はWindowsやMS-Officeの使い方レベルで終わっているが、私の場合はそれに加えてC++、Java、HTML、VisualBasicによるプログラミングやPCネットワークの基本の授業もしたいと計画しており、より専門的な教材資料が必要となる。
 ジャマイカの本屋を回ったが、プログラミング関係の本は非常に少ない。ネット使用も難しい現状では教材作りは苦しい。
●生活用品
 生活用品については、田舎であるため、村で買えるモノは限られている。しかし、行政区の首都であるセントアンズ・ベイまで1時間程度で買出しに行けば前述のとおり物資は豊富。
 日本人として欲しくなるもの、いわゆる日本食の食材や、お茶等は、中国人経営のスーパーで購入している。
●食事
 食料事情としては、野菜の少なさが問題と思われる。
 基本的に、構内の食堂で食べているが、メニューはライス、肉(魚、鶏、山羊、牛、豚のうち一種)、芋とキャベツと人参の千切りが少し、という風で決まっている。
 肉にはバリエーションがあるのだが、野菜にはない。
 よって毎日ビタミン剤を服用している。
●安全対策
 モニーグが田舎で、しかも大学構内ということもあり、特に意識して安全対策らしきことはしていない。
 ただし、移動する場合は、必要以上のお金は持たず、襲われたときに差し出すための小額紙幣は常に別ポケットに持っている。
 また、基本的に日没後は(行く店もないのだが)一人では出歩かない。

(2)配属先の概要
<配属機関名>
教育文化省 モニーグ大学
ホームページアドレス http://www.moneaguecollege.org

<配属先の組織と規模>
  • 教師数63名、生徒数約900名。
  • コミュニティカレッジとティーチャーズカレッジが構内に併設されている。
  • 生徒は完全に区分されている(制服が違っている)が、教師は両方の生徒を教えるようになっている。
  • その他、夜間コースやケーキ教室や裁縫教室等の短期講習もある。
  • PCラボは4つ。
  • PCが約15台の部屋(ラボ1〜3)が3つ。約40台の部屋(ラボ4)が一つ。
  • ラボ1〜3は、初代Windows95、OSR2、Windows98とバラバラである。
  • ラボ2のPCは一台のWindowsNTのサーバに繋がっているが、1、3は全てスタンドアロン。
  • ラボ4のPCのクライアントはすべてWindows2000Proであり、PC業者(外部の業者らしい)の設置しているサーバに接続されている。
  • インターネットへはダイヤルアップ接続であるが、電話線はラボ2に一本あるだけなので、屋外の廊下をコードで延長してラボ4のサーバに接続している。

  • <海外の援助の有無>
    協力隊員のみ。


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