共通様式2
隊員活動報告書

第5号(赴任1年11ヶ月目)として、以下の項目について報告します。
(1) 4号報告書(2003年10月)以降の活動について
(2) 2年間の活動全般について

(1)4号報告書(2003年10月)以降の活動について
 12月に1学期末の試験があり、課題、試験問題の作成、試験監督、採点、成績評価を行った。
 2年目ということもあってか、生徒数が一気に増加。200人近い生徒を授業で受け持ったので、体力的に大変であったが、その為の時間も相応に与えられたので、採点や評価については特に問題は無かった。
 ただ、試験などの一種のイベントになると、日本のようには物事が進まないため、戸惑ったり、結果的に不手際を招いてしまった。例えば、自分の担当教科の試験を実施したい場合、事務局に届け出て、試験問題を作成すれば後は事務局側で試験を実施してもらえる...ようにはなっていない。事務局に届け出た後、試験問題を人数分だけ印刷・コピー、生徒へのアナウンス等、全て担当教師がそれぞれで行う。
 事務局が生徒の人数と、そのクラスで選択される教科を把握していれば、印刷担当者を立てさえすれば、後は手際よく集中的に印刷が行えるが、それらのデータが事務局と実際の現場でリンクできていないため、実際の現場のデータで仕事を進める必要が出てくるのである。

 2学期は、授業の大半がMicrosoft EXCELの使い方であった。
 1学期のWordと同様、テキストを自作し、それを授業時間中に生徒に自習させることで対応した。この方式を導入した背景には、次のような問題があった。
・教室が大きく(大人数)、後ろの方の席ではホワイトボードが見えない
・テキストを印刷しようとしても、コピーはいつも混んでいて、しかも生徒数が多いので、コピー用紙が大量に必要になる。
・クラスが変われば同じ内容をホワイトボードに書いて説明することになるが、ホワイトボードマーカーの消費が激しい。
これに対して、テキスト(内容に練習問題が組み込まれている)を自作した。これらは、次のような利点があった。
・Wordで作成しているので、PCを立ち上げればテキストが読めて、紙が不要。
・生徒一人一人が自分のスピードで一章ごとにこなしていくため、作業の早い生徒が退屈したり、理解が遅い生徒が授業を放棄してしまうことが少なくなる。
・違うクラスでも、データをコピーすれば良いため、ホワイトボードマーカーも不要。
・自習スタイルなので、質問のある生徒にマンツーマンで指導できる。
[問題点]
・ジャマイカ社会は、資格社会のようで、実際に何ができるかよりも、どこの大学を卒業したかとか、何の単位をとっているかを重視するようである。
・そのせいか、私の受け持ったクラスも本当にPCの操作を学ぼうとせず、いかに単位をとるか、を重要視している生徒が少なからずいた。そういった生徒は課題や、テキストの問題を他人のコピーで済ましている。
 実生活では殆ど役に立たない勉強をする日本の大学と違い、こちらの大学は実際の仕事や生活に役立つカリキュラムが組まれているだけにその点は残念である。


 授業とは別に、図書館のコンピュータの管理も引き続き行った。
 システムの構築は先学期に完成させたので、現在は維持管理が主な仕事である。
[問題点]
 維持管理のみとはいえ、不特定多数の生徒が使用するので、アンチウィルスソフトのアップデートはまめに行う必要があるし、突然Windowsが起動しなくなる等、なかなか手放しにはできない。
 この点については、信頼できる先生(インド人)にシステム構成を説明し、私がいなくなっても後を引き継いでもらうよう、お願いしてきた。


 また、今回はTourism & Hospitality学科の生徒から要請があり、その学科で実施する模擬アジアレストラン実習で、日本語の歌をギター演奏で歌ったり、日本の小物を紹介したりもした。
 これは本来の要請の活動ではないが、この噂を聞いた校長が、たいへん喜んでいた。


(2)2年間の活動全般について
 私の活動は全般的にジャマイカ人の教師と全く同じものを要求され、それをやってきた。
 学校によっては、日本人ボランティアを授業のサポートとして扱い、その授業の実質の運営はジャマイカ人教師が行っているケースもある。しかし、私の場合は他の教師と同じように一人で授業を受け持ち、そのクラスについては課題をやらせ、試験問題を作成し、試験の採点、成績評価も全て行った。
 当然、成績を評価する責任者は自分なので、生徒からの苦情や陳情も自分で全部対処することになる。
 その分、生徒と喧嘩のように言い合ったりするケースもあったが、熱しやすく醒め易いあっさりしたジャマイカ人の性格からか、その後はそういった生徒と逆に親しくなったりできた。
 私の活動の当初からのコンセプトは、他の隊員とベタベタするのではなく、現地に徹底的に溶け込むということであったので、この点では非常に満足している。
 その成果か、最後の朝礼での挨拶の際、スピーチをパトワ語で行い、自分ひとりで校歌(英語)を歌ったところ、スピーチでは大爆笑の連続、校歌を歌い終わった後には生徒が総立ちで拍手喝采だった。
 奇しくも私の中の「協力隊の学校隊員」のイメージとおりの結末となったが、学校に配属されたことが非常に幸運だったと思うし、自分の活動は十分満足いくものであったと断言できる。
 私の要請内容及び活動内容そのものは、ジャマイカ人教師と全く同じものなので、授業以外に教えた日本語といった要請内容以外のものを除けば日本人ボランティアでなくとも実践可能である。従って、私の活動そのものは学校側からしてみれば「できて当たり前」のことであり、大して評価はされていないと思われる。
 ただし、日本人がジャマイカ人と同内容の仕事をしたという語学における努力の点で評価が高かった。
 前述の最後の朝礼での紹介文の中でも、私が最も評価されたのは語学である。
 本校では私で日本人ボランティアは3人目であり、最後である。
 その中で2人目の隊員が英語を話せなかったため、学校側が金額を負担して英語を勉強させる、といったいことがあったらしい。そのせいもあってか、最後に校長と懇談した際には、「ボランティアは欲しいが、英語が話せなければダメ」と強くアピールされた。
 宿舎の同居人の話によれば、2代目の彼は食事も自炊し、週末はよく隊員連絡所に行っていたらしいが、私は率先して食堂で他の同僚や生徒達と一緒に食事をしていたし、週末も大学構内の職員宿舎で過ごした。
 とりあえず、最後のボランティアとして私は大好評の内に活動を終了できたので良かったが、もし私も英語が出来なければ、評価はかなり低く終わったにちがいない。
 よく、協力隊の募集広告では書かれていないが、やはり十分な活動を効率よく行うには、語学は必須であると思う。優秀なコンピュータ隊員でも、言葉ができないために活動がお粗末になっていたりする例も実際にメールを受け取ったりする。選考の際には語学のレベルをもっと重視すべきと思う。


 今後、ジャマイカでのPC関連の活動は、各学校に単独には配置されず、省庁等で多くの学校をカバーする形になっていくとのこと。そういった戦略転換の前に、ひとつの学校に入り込み、後半は現地語で会話をし、校内をあるけば鬱陶しいくらいに生徒に声をかけられ、最後は大喝采で活動が締めくくれた自分は本当に幸運だと思う。
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